最大氷結晶生成帯の通過時間を管理する——凍結品質を左右する-1〜-5℃の考え方
更新日:2026年10月23日
テーマ:最大氷結晶生成帯の通過時間と氷結晶の大きさ / 掲載日:2026年10月23日
急速凍結の良否は、庫内温度の低さだけでは判断できません。食品の中心温度が最大氷結晶生成帯をどれだけ短時間で通過したかが、氷結晶の大きさとドリップの量を左右します。
最大氷結晶生成帯は、一般に-1〜-5℃の温度帯とされています。この範囲では食品中の水分の大半が氷へ変わるため、通過に時間がかかりますと氷結晶が成長して大きくなります。大きな氷結晶は細胞組織を傷つけ、成分の部分的な濃縮によって化学反応も進みやすくなります。この温度帯に長く留まるほど品質は低下します。
高知県の資料では、-20〜-40℃の冷気を吹き付けるエアーブラスト方式に対し、超低温の空気を用いる超急速凍結機は、食品の中心温度を-1℃から-5℃まで30分以内に低下させられると紹介されています。通過が短時間で済むため、氷結晶が小さくなるという説明です。
冷媒の種類によっても通過時間は変わります。冷風を吹き付ける空冷式に対し、ブラインやアルコールなどの液体に食品を浸漬する液冷式は、気体よりも熱が伝わりやすい液体を冷媒とするため、熱交換効率が高くなります。高知県の資料でも、液体を用いて急速に凍結させることで、食品の中心温度が最大氷結晶生成帯を短時間で通過し、氷結晶を小さくできると説明されています。
家庭用でも差が示されています。日立の冷蔵庫の試験(牛肉150gを3枚、室温約20℃)では、最大氷結晶生成帯の通過時間は、急冷凍が約75分、通常冷凍が約177分でした。なお、この数値は特定機種の条件下のものであり、業務用設備にそのまま当てはめることはできません。
実務では、次の3点を確認することをお勧めします。第一に、品温センサーで中心温度の凍結曲線を測定し、通過時間を数値で把握することです。第二に、トレイの積み方や包装厚を見直し、風や冷熱が均一に当たるようにすることです。第三に、凍結前の品温を下げ、庫内への投入量を設備能力の範囲に収めることです。


