超低温(-50〜-60℃)冷凍マグロの品質保持技術「色調劣化とメト化をどう抑えるか」
更新日:2026年10月10日
テーマ:超低温冷凍によるマグロの色調保持とコールドチェーン / 掲載日:2026年9月30日
マグロの品質保持で最大の課題となるのが、肉色の劣化です。赤い色素タンパク質のミオグロビンが酸化されて褐色のメトミオグロビンに変化する「メト化」は、冷凍保管中にも進行します。冷凍マグロ肉の保管温度と色調変化を調べた研究では、-5℃や-10℃の保管では赤身・中トロともに初期からメトミオグロビン量が増加し、-15℃でも緩慢ながら上昇が続くことが報告されています。特に脂質の多い中トロでは増加が顕著でした。
この研究では、一般的な冷凍保管温度である-18℃でも色調劣化は比較的速く進行するとされ、流通業界では-50℃以下の保管が利用されていると説明されています。温度を下げるほど酸化反応や酵素反応の速度が低下し、品質保持期間の延長が期待できるためです。
近年は、この超低温域をコールドチェーンとして一貫させる取り組みも進んでいます。沖縄では2019年5月に、県内外4社が-60℃で輸送できる超低温の冷凍倉庫とコンテナを整備し、那覇港で運用を開始しました。従来は-30℃までの設備しかなく、缶詰やペットフード向けに加工されていたマグロを、刺身用の高鮮度品として国内外へ出荷できるようになったと報じられています。
実務上のポイントは三つあります。第一に、急速凍結で氷結晶を微細化し、ドリップを抑えること。第二に、脂質の多い部位ほど厳格な温度管理を行うこと。第三に、保管から輸送、荷受けまで超低温を途切れさせないことです。一度でも温度が上がると、その後の再冷却では色調回復が難しいため、温度ロガーやTTIによる履歴管理も併用すると効果的です。設備の電力コストとの兼ね合いを踏まえ、対象製品の付加価値に応じて温度帯を選定することが重要です。



